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東方影霊讐 『エメス』





「忘様…またですか」

門の柱にナイフで留められた紙を覗いて、彼女は嘆息する
割と高質な紙には、子供が書いたようなバランスでこう書かれていた

『ちょっと気になることできたから、あとよろしく。――忘』

「…まぁ、いいでしょう」

字だけは綺麗に書かれているそれを丁寧に取ると
これまた丁寧に折りたたんでポケットへと入れる
ついでにナイフの跡も塞いだ

…古明地忘、ここ地霊殿の主である古明地姉妹の長女にあたる人物
気まぐれで門番を引き受けてくれるのは、仕事が少しでも減るので、嬉しいことには嬉しいのだが
彼女は必ずといっていいほど、こうしてフラっとどこかへ行ってしまうので、結局のところ仕事は無いようであるのだ

いつもの定位置へと立ち、エメスはまた仕事を再開した
見上げると、黒々とした空が広がっていた



東方影霊讐
『エメス』side



しばらく、門の前で見張りを続けていると、当の本人が帰ってきた
妹よりも濃い紫紺の髪を揺らして、彼女は緩く手を振る
片方の手にはお土産なのか、包みが握られていた

「ごめんごめん! ちょっと気になったことがあってね。はいこれお土産」
「いえ、この程度なら分かりきっていることなので大丈夫です、忘様。あ、お土産はさとり様とこいし様にお願いします」

さらりと答えてやるエメスを、彼女はじぃっと見つめる
エメスは表情を変えることなく見つめ返す。口元には微笑が浮かんでいた
彼女の瞳には怠惰の効果があると言われているが、どうやらエメスには効かないようだ

しばらくして、忘は喉の奥に骨が引っかかったような顔をする

「んー、なんかバカにされたような気がするんだけど…」
「気のせいですよ。それで、何かあったのですか?」
「ああ、そうそう、忘れたよ。そのことはさとりのとこで話すから、エメスも来な」

そう言って彼女は先を行く
さとり様に……なにか重要なことなのだろうか
エメスは自身のトークンをそこに設置し、忘の後を追った


「ねぇ、ホントにこれいらないの?」
「私よりも、妹様に差し上げたほうが良いと思いますよ」
「……ちぇ」
「……? どうかしましたか?」
「へんっ いいさ。妹たちにあげるし。……もう」



地霊殿の奥に存在する、執務室
主はここで、管理や書類の整理などを行う
硝子の装飾が施された扉を数回ノックしてから、エメスたちは入室する

そこでは、さとりが書類の山に埋もれていた
紅茶のカップが側に置いてあるのが隙間から見える。休憩の最中だったのだろう
紙束をどけて覗かせた表情には、疲れの色が見えていた

「どうかしたのですか? お姉様、エメス」
「ちょっとさとりの耳に入れたいことがあってね、エメスにも」

近くに積み上げられた本の上に無遠慮に座ると
後ろに伸びた二束の髪をいじくりながら、忘は話し始める

「さっき、怨霊の気を感じたんだよ」

「怨霊、ですか」

さとりの表情が険しくなる

死んだ者の強い恨みや憎しみが具現化して現世に現れた物
それを怨霊と呼ぶ
腕っぷしの良い鬼であろうと、怨霊に触れ続けると精力が奪われていき
体内のすべての精力が奪われてしまった場合は死んでしまう

「それは大事ですね…それで?」
「気を感じたんで探しに行ったんだけど…いなかった」
「いなかった…?」

さとりは眉を潜めた
怨霊は自分から消えてなくなることは、まずないのだ
生み出されたら、周辺を漂い、誰かに害を与え続けるだけ
自身から消えるということは、何者かに消滅させられた。ということになる

そして、怨霊を駆逐するのが、古明地忘の数少ないお仕事となっているのだ

「他の誰かがやった可能性が高いかな。…それか」
「……まさか」
「……いや、さすがにないかなって思う」

深刻な顔で軽く俯く二人

残されたもう一人は、その場で立ったまま首を捻る
そして、申し訳なさそうに二人に尋ねた

「すみません…一体、なんの話を…?」
「……」
「……」



「――というわけ」
「…なるほど。それは本当に危険ですね…」

怨霊は誰かに害を与えるとあったが
それだけではなく、怨霊は触れ続けた者を乗っ取る力を持っている
だが、この力が使われることは滅多になく
余程強い悪心から生まれた怨霊からではない限り、使うことは出来ない
使おうものなら、その力に押し潰されて自爆するのみである

「私が感じた気は、それなりに強かった。憑りつくのも可能だと思う」
「だけど、人に憑りつくには時間が必要なんだ」

怨霊はすぐに憑りつけるわけではない
長い間触れ続けなければ、怨霊は対象に憑りつくことはできない
怨霊の気には敏感な忘が気づいてから、その気が消滅するまでの時間は短かったらしい

「てことだから、きっと他の誰かがやってくれたのかねぇ。ありがたいことだけど…ふぁぁ」

めんどくさそうに締めて、忘は欠伸をする
忘の割には懇切丁寧に説明してくれた
エメスが感謝すると、忘は照れ臭そうに髪をいじっていた

今まで黙っていたさとりが恨めしそうに口を開く

「…私が思っている以上に、エメスは何も知らないようですね」
「…すみません」

声を低める主に、エメスは頭を下げる
まぁまぁと妹を嗜めて、忘はまとめる

「ま、誰かがやったってわけにしても、一応は警戒しないといけないわけ。…さとり」
「既に怨霊注意報は発令しています。今頃、旧都は賑わっていることでしょう」
「そっか。相変わらず仕事が早いねぇ、助かるよ」

そう言いながら忘はさとりの頭をくしゃくしゃと撫でる
「やめて下さい」と言う割には、幸せそうに目を細めている
分かっているのか、忘も手を止めることなく撫で続ける


……そこまで深刻ではないのでしょうか…

何か幸せそうな主二人を眺めて、エメスは思うのだった
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【日常】『昨日は彼女も恋してた』『明日も彼女は恋をする』


お久しぶりの更新で考察です。ゆれぃです
今回はオススメされて読んだ
入間人間さんの
【昨日は彼女も恋してた】
【明日も彼女は恋をする】
の感想+ほんの少しの考察を!

叙述トリック
という話を聞いてキュンとなり、3軒ぐらいお店を回ってやっと購入に至り
「よし! 絶対騙されない!」
そう息巻いて読書開始

はい。騙されました
しかもかなーり騙されてます。恥ずかしい
その考察は後にして、感想を

『ぼく』は、主人公! というのが嫌というほど分かるぐらい熱い男の子でした
愛している『マチ』のために、ひたすら時間の旅をする
たとえ自分という存在を失ってでも…。こんな心が熱い主人公は最近見てませんね
それにお婆ちゃん想いなのがとても良かったですね
所々に家族愛が見れる場所があってじ~ん…と(´;ω;`)

『わたし』は、逆に面白い主人公だなぁ、と
結構心中が文章に現れてますが、この子はかなり口悪いですね。いまどき
男らしいというか、変に美化されてなくて、印象にくっきりと残ります
その分、時折見せる女の子らしさにキュンキュンすると思います。しました
『わたし』も、『ニア』のために、同じように走り続けます

全体としてはやっぱり夢中で読んじゃいますね…。アラームかなにかないと厳しいです
他の作品からの感想を読んだり、実際にこの作品を読んで思いますが
かなり痛い(物理的に)表現がリアルです。作品内で手を怪我する場面が多いですが、全部痛々しい…
そういう表現を前面に押し出した
【たったひとつの、ねがい。】
次に読みますが楽しみです…【ヒト喰い】も大丈夫だったし、ヘーキ!ヘーキ!

それではこの辺にして…考察!
まだ一回しか読んでませんけどなんとかなりますって、ヘーキ!ヘーキ!(2回目)
それではネタバレを含みますので、読み終わったあとにでも読んで
「なんだこいつ全然違うゾ」「そうだよ」
とか言ってくださると嬉しいです。ハイ









とりあえずズバリ! 言っちゃいますと


『ぼく』は『ニア』ではなく
『わたし』は『マチ』ではない

作品中の名前を使うと

『ぼく』は『近雄』であり
『わたし』は『裏袋』である

最初私は一組の男女の物語と思っていました
途中からサブキャラとして『近雄』と『裏袋』が参戦しますが…
どうせ、サブキャラ…。とスルーしていました

実際は、二組の男女の物語だったんですね
一組目は『近雄』と『マチ』
二組目は『裏袋』と『ニア』の物語

『ぼく』を『ニア』 『わたし』を『マチ』
として私は読んでしまい、一組のペアが動いていると錯覚していました。あっぱれ

そうすると、上巻での意味深な描写や、違和感もスッキリと解決すると思います

まだ二回目を読んでいない私からするといまだこんがらがっていますw
とりあえず、人物の違いを捉えつつ、今度は時間軸を前提に長く話していけたらと思います
それがいつになるかは分かりませんが…

まとめると、本当に文章や組立が綺麗で読んでいて圧倒されっぱなしでした…
私もあんな風に書けたらいいなぁ…。いつの日か



プラスでSS近状報告でも
SSはとりあえずは進んでいます
オリキャラを含みますが、完結したらピクシブにでも載せようかと思っています
そのためにはまず、私のオリキャラの説明もしなくちゃいけなかったりで、ハズカチ…(小声)
ですが自分のオリキャラと自信をもっていつの日か、日の光を浴びせたいですね

それでは、このぐらいで。

【SS】リサ【PSO2】



「べつにリサはむかしっからこんなかんじだったわけじゃないです。恥じらいのある女の子だったですよお。」
「それがどうしてこうなったのかは……乙女の秘密です。ふふっ、ふふふっ」



ダーカーが出現して、まだまもない頃のお話


虐げられる言葉の数々を、彼女はその小さなコアで受け止めていた
キャストとして、生み出されてからまだ2年も経たない
居住区をふらっと歩けば、目に見えるのはヒューマンのみだった
まだキャストという新しい種族ができてからそこまで時間は経っていない
確か3年前だったはず―白衣を着た男が教えてくれた

そのため、外を出歩いても目にするのはヒューマンばっかりだった
彼女の無機質な外見とは裏腹に、もう秋だというのに半袖、半ズボンで少年たちは走り回っていた
そして少年たちの目には、彼女は異質すぎた

最初はただ、おびえるような目でじろじろと見られるだけだった
それくらいは、覚悟はできていたし、彼女は気にもしなかった
しかし、彼女が内気で、おとなしい性格だと知ってから、彼らは一変した
悪口ならまだよかった。彼らは最悪な性格の持ち主だったようだ

まだキャストの開発は進行段階であり、水や炎、帯電に対する耐性は未知数。いや、耐性などまったくなかった
彼らはそのキャストにも及ばぬ弱い頭から、それをうまく突いたのだ


「やめ、て…」
懇願するような目で彼らを見ても、彼らは手を止めることはない
「いいぞ! もっとやれ!!」
誰も寄り付かない橋の下
げらげらと笑いながら、彼らはバケツに汲んだ水を彼女に浴びせる
水は既に内部に浸透して、彼女の視界には赤いアラートが鳴り響いていた
手足はもちろん動かない。無駄に働く思考、意識だけが頭を駆けまわっている
長い間、浴びせ続け、彼らは飽きたようにバケツを放り投げた

―よかった
彼女はそう思った。今日はこれくらいで終わる
しかし、彼らの中のガキ大将のような少年が、あるものをポケットから取り出した
まだ普及しきっていない、スタンバトンだった
水に電気。彼女にも分かっていた。鳴り響くアラートのテンポが上がった気がする
「やめて…それは…!」
口から声を絞り出す。が、興奮しきっている彼らには届かなかったようだ
バチバチと飛び散る電気を彼女の胸―いわばコアにあてがった

「っ――――!!!」
声にならない叫びをあげる
アラートはもうすでに停止し、体が数回震えたのを感じる
意識が暗闇にのみこまれていくなか、視界に映っているのは
興奮さめやまぬ様子でこちらを覗き込む、男たちの姿だった



「またか…」
聞きなれすぎた声が届いた
目を覚ますと、いつものように白い天井、続けて白衣の男性が目に入った
彼は彼女の調整や世話を担当している。いわば彼女の唯一の家族だ
彼女もそれを拒むことなく、和気藹々としていた
「しかし今回はひどい有様だな。水に加えて電流を流されるとは…。今回はちょっと治療が長くなるよ」
「……そう、ですか…」
小さく吐息を漏らし、疲れ切った様子で身をベッドに預ける
「いくら注意してもあいつらはやめないな。…いっそのことこういう施設にいるっていうのは―」
「それは! っ! …それは、いやです…」
思わず声を上げて小さく体がスパークし、声のトーンを落とす
「珍しいね君は…。キャストは大方、施設で暮らしていくのだが…」
「…生きている鳥とか、花とか…ヒューマンが、私は…好きですから」
「そうかい。だがショックなんじゃないか? そのヒューマンにこんなことされて」
弱々しく、リサは笑みを向けた
「確かに、ショックではありますが…。子供は仕方がないですから」



あれから数日
ぼんやりと窓から覗く枯れ木を眺めていたリサに朗報が入った
キャストの全面的な強化、そして
「アークス、ですか?」
「ああ、君の適正はかなりのものだと上から連絡があってね」
「私が? …なにかの手違いでは…」
「いや、公式にもあるよ。ほら」
彼はリサに書類のようなものを手渡した
見ると、基本的な情報とともに、いろいろな適正がランク付けされていた
「…ほとんどSランクですね」
「そうだ。こんな適正は初めてだったらしくてね。それが大きな理由で今回のキャスト全面強化が施されたといっても過言ではないよ」
それでも信じられない、というような目でリサは赤くアンダーラインが引かれた『S』という文字を見つめていた
……少し、『精神力:B』と書かれた数字に傷ついたが、別段気にすることもなかった
しばらくして、気づいたように顔を上げた
「あの…私武器とか使ったこと…」
「それはこれから慣れてくといいよ」
心配そうに眉を落としているリサを見て、彼は付け足した
「君なら大丈夫さ。すぐ使えるようになるよ」
「っ…はい」
再び目を落とし、今度は嬉しそうな顔でなんどもなんども読み返すのだった


アークスとしての彼女の才能は、予想通り目を見張るものだった
『テスト終了。素晴らしい成績ですね』
「あっ、ありがとう…ございます」
アサルトライフルを手にしたリサの前には、見事に撃ちぬかれた的が転がっていた
針の穴を通すような精密さ、そして揺るぎない集中力を持つキャストに、射撃武器はかなり相性がよく、リサもそれは感じていた
―もっとも、射撃武器を進めてくれたのは白衣の彼だったのだが

「あのテスト先公が褒めてるぜ」
「初めて聞いたわ…」
小さなざわめきが周りから起こり、視線が気恥ずかしいのかそそくさとリサはその場から立ち去った
こんなことが毎日で、彼女はテスト以外は大体、外か研究室にいることが多かった

「それでですね。テストの人が褒めてくれたんですよ!」
「おお、それはいいことだ。よかったじゃないか」
「はい!」
数日前とは対照的な、純粋な笑みを浮かべリサは明るく返事した
彼女の変化に、彼もまた喜びを隠せなかった


しかし、彼女には唯一の欠点があった
「…あの子を…撃つんですか?」
『はい。今回は実戦を想定した演習ですので』
また時間は過ぎ、半年後
惑星ナベリウスのある場所で、彼女は銃を構えていた
照準はいつもの的ではなく、ウーダン。生き物を捉えていた
引き金に触れる指が震える。これを引けば、ウーダンは死ぬ
「っ…」
―ガシャン、と銃を落とした。そのまま崩れ落ちる
目に涙を浮かべ微かに声を出す
「…無理、です…こんなの…」
『……』
無線の奥で、何か話す声が聞こえる。きっと彼と話しているのだろう
しばらくして―
『分かりました。それでは今日はここで終了です。お疲れ様でした』
心なしか無愛想な声に、コアがチクリと痛んだ
「はい…すみません…」
それだけ言うと、土で薄汚れた銃を拾って立ち上がりその場をあとにした



「聞いたよ。ウーダンを撃てなかったんだって?」
「はい…」
研究室のベッドに腰掛け、彼はリサの帰りを待っていた
トントン、と隣を指でつつき、座るように促す
リサもそれに従い、隣にこじんまりと座った
「君はキャストの中で珍しいね。生き物を大切にする心を持っている」
「…」リサは黙って聞いていた
「それはとても大事なことだ。気に病むことはないよ」
「…アークス失格…ですよね」
「そんなことはないさ。君は君に合った仕事をすればいいよ。でももし―」
そこで区切り、落ち込むリサの瞳を覗き込む
「撃たなければ自分が殺される。そんな状況になったら…君はどうする?」
「っ…それは…」
言葉に詰まる
「そのことを考えて、アークスの任務に向かうといいよ。君はあの演習以外は完璧だから、アークスとして正式に採用されるからね」
「…分かりました」
そう呟いたのを聞き、彼は立ち上がると何も言わず研究室を出て行った
残されたリサは、側らに置いておいた土埃がついた銃を手に取り、眺める
「私は…」


あれからまた時は経ち、一週間後
惑星ナベリウスの凍土でリサは、異常気象の調査をしていた
最近、凍土の気象がとても不安定であり体温調節に乏しいヒューマン、ニューマンによるアークス任務が難しくなっている
そこで寒さにある程度強いキャストであるリサが選ばれたのだ
「少し、寒いですね…」
キャストが寒さを感じるとなると、かなり温度が下がっているといえる。原生生物などいるわけもないだろう
ある程度舗装された道を歩く。指定された場所までもうすぐのはずだ
少し強い風が背中を叩いている
「確かこのポイントで合っているはず――!?」
指定された場所に着くやサイレンが鳴り響いた
この音は確か―
『全アークスに緊急通達。アークスシップ及び惑星ナベリウスにてダーカーが発生しました。発生地域周辺にいるアークスは至急迎撃にあたってください。もう一度繰り返します。アークスシップ及び惑星ナベリウスにてダーカーが発生しました。発生地域周辺にいるアークスは至急迎撃にあたってください』
「えっ…!?」
ダーカーは何度か耳にしたことがある
しばらく前に発生した正体不明の黒い生物
凶暴で原生生物やアークスを襲う…
「アークスシップが…!」
この場合ダーカーの迎撃に向かうのが最優先である
それに、アークスシップには『彼』がいるのだ
引き返そうと振り返った彼女に黒い何かが立ちふさがった
「…? 痛っ…」
ゆっくりと見上げきる前に何かに荒々しく押され、受け身もとれぬまま積もった雪に倒れる
身体が芯まで冷やされるのを感じるが、今はそれどころではない
「誰ですか? いきなり―」
バンッと乾いた音が言葉を遮った。二発
不意をつかれた発砲音に言葉が詰まり、しかし足を這う痛みに空になった声が出る
冷やされた身体が足から燃えるように熱くなっていく
「ぁ…あ…」
口をパクパクと動かしながら、黒い何かをようやく見ることができた
上下すべて黒色で染まり、黒づくめの恰好をした男だった
そして―
「なんで…? っ!」
小さくスパークを弾いた足に声が漏れつつも、問いかける
人間同士で撃ちあってはならない。もちろんアークスであってもだ
突然、目の前の黒づくめの体が上下する。笑ったのだ
茫然とするリサの前にひとしきりゲラゲラと下品な笑いを上げると、嘲笑する
「ふん、かわんねぇなコイツ」
その声、笑い方。思い出した。この男は
「あなたは…っ! あのとき、の…」
ガキ大将だ。あのスタンバトンを持っていた。あの少年だ
彼もまた、リサのように背丈が伸び、ガッチリとした男となっていた
「てめぇだけアークスになったわけじゃねぇんだよ」
「なんで…アークスなら…」
「残念だが、俺は正義のアークスなんてぜんっぜん興味ねぇん、だよ!」
最後の言葉と同時に、リサの手元に落ちていた銃を蹴とばした
銃口をリサの右肩に向けると、有無を言わさず撃つ
再び乾いた発砲音とともに痛みが突き刺さる
「うぅっ!」
コアが余計に豪華になった警告音を上げ始めた
痛みが身体中を駆け巡り視界が定まらない
漏れ出したフォトンが雪を染めていく
「てめぇみたいのがいるからヒューマンの評判は下がるんだよ!」
キンキンと耳に響く。そしてまた―
もう痛みに慣れたのか、それとも身体がキャパを超えたのか
痛みを感じられない
「さて、と。こんなやつに時間かけるのはムダだし、そろそろ行くか…あっ」
思い出したかのように懐から取り出したのは、あのスタンバトンだ
「そういえばてめぇ、これ好きだったよな?」そしてまたゲラゲラと笑う
スタンバトンがバチバチと激しく電気を帯びる。前のより、激しく
放り投げられたスタンバトンは放射線を描き落ちていく。フォトンが流れる関節部へと
ゲラゲラと笑いながら去っていく男を最後に、リサの意識は強すぎる刺激にかき消された

意識が浮かぶ。いつの間にか、吹雪は去っていた
そして視界はまた、真っ黒な何かに覆い尽くされていた
それはもぞもぞと、人ではないような動きをしている
黒の中に時折見える赤色。これは―
「ダー…カ…」
上手く声が出せない。しかし、リサにはわかった。この正体が
―ダーカー
そう思った瞬間、妙に身体が軽くなった
朦朧とした意識の中、気がつき、既に氷のようになっていた背筋が凍る

片腕がない。このダーカーはどうやらリサを恰好の得物としているらしい
見ると肩からごっそり抜けているような腕が落ちていた
ガクッと身体が傾く。もう警告音は響いていない
―このままでは、死ぬ
「ーーっ」
声を上げようと力むが、声帯機能がつぶれ、微かに息が漏れ出すだけだった
息が荒ぎ、恐怖心が身を支配する
キャストでありながら、死に対する恐怖が湧き出ていた
死ぬ…やだ…やだ…!
ダーカーの腕が振り上げられた。鋭利な腕が黒光りする

何度目かの、乾燥しきった音が鳴る
銃弾は今度はリサに当たることなく、目の前のダーカーに命中する
ダーカーは速足でリサのもとを離れ、去っていく
次に視界に躍り出たのは、見慣れある背丈、そして
「大丈夫か? 意識はあるか?」
声だった
「…っ」
口を開けるが息しか出てこない
焦点が定まらない目で必死に彼の姿を、顔を見ようとする
「スタンバトン…。アイツか、相当やられてるな。腕まで…立て、そうにもないな」
ふわりと身体が浮かんだ。支えられて立たされたのだろう
足の感覚がまったく無くふわふわとした感覚がする。背中にあたる風が凍土だというのに暖かく感じてしまう
そして彼の温もりがリサを癒していた。安心し、意識が静かに消えていく
「大丈夫だ。早くラボに戻ろう」


次に目覚めたとき、そこはまだ凍土だった
それに身体がひんやりとしている。地に投げ出されていたのだ
視界を横にズラすと、赤色の何かが雪にこびりついているのが入る
それがなにかを理解する前に倒れている人を見つけた。衝撃で目を見開く
彼だった
倒れ、血を流していた彼の横に、あの男はいた
「こいつがアレを作ったヤツか」
彼が向けた銃を蹴とばし、銃を突きつけた
引き金にあてた指に力が入っている
「てめぇさえいなければヒューマンは…!」
「っ! だめ…!」
スローモーションのように場面は進む
引き金を引く指
右手を精一杯伸ばし、声を上げる
しかし、届かなかった
あの男は、止めることはなかった
「だめぇええ!!」
むなしく、銃は撃たれた



「あ…ぁぁ…ぁ…」
飛び散った血が雪、男、そしてリサを塗りたくる
身体が跳ねた後、もう彼は動かない
彼は死んだ。あの男に撃たれて、死んだ
その事実が大破しているコアを貫く
「こんなロボの開発とはな、同じヒューマンとして苛立つ」
そんなことを言い、男はリサに気付く
「まぁだ生きてやがったのか」
力なく落ちた手を思い切り踏み、笑う
痛みはとうに無くなっている。今はただ彼の亡骸を見ていた
視線を辿り、交互に二人を見ると口角を釣り上げる
「そんなに大事な人だったんだなぁ?」
ゲラゲラと笑い、ぐりぐりと手を踏みつける
「てめぇもあの生き損ないのヒューマンのもとに連れて行ってやろうかぁ?」
聞いていたリサのコアに、思考に、今までにないような感じが生まれる
身体が燃えるような感じが
中に流れ、溢れ出ているフォトンが逆流するような感じが
「生きる価値もない出来そこないの人間のもとにいきな!」

今すぐに―
―コイツを



銃を向けてい男は、瞬きする間もなく宙に投げ出されていた
冷たい風が痛い
「は? がはっ…!」
状況を理解する前に、引っ張られるように地面に叩きつけられる
続けざまに腹に襲う衝撃、激痛
視界が白黒になっていく
「なぜだ…今俺は……!」
鮮明に景色が戻っていき、気づく
さっきまで倒れていたはずのアイツが。俺の上に乗っている
青白いフォトンを噴出させながら、鬼のような姿をしながら
「アナタだけは…許さない…」
口調も何も変わらないというのに、男はぞくりと恐怖を感じる
「なんだ…なんなんだ…てめがあっ!!」
物も言わせず振り下ろされた腕が男の腕をたやすく押しつぶす
その力は、キャストと言えどもありえない力だった
続く二撃。三撃。繰り出される暴力に男はひたすら悲鳴を上げていた
次第に声と嗚咽は消えていき、今度は粘着質な音が鈍く、低い音と合わせて生まれる
しばらく、それは続いた


「……ひっ…」
ハッと我に返ったリサの目に映ったのは
もう元の形を留めていない男だったもの
後ずさりしようともがくが、足はまるで動かない。転げ落ちるように離れる
「わ、私は…ぁっ…」
近くで倒れている彼にぶつかる
力なく雪の上に落ちている彼の手に触れようと手を伸ばす、が
「うっ…」
血で真っ赤になっている自分の手が視界に入った瞬間、強い自責の念が押し寄せてくる
こんな人殺しの手でこの人に、触れられるわけがない
「私は…リサは…人を、人を…殺して…この男と同じ、じゃないですか」
だらりと手を降ろし、血で染まっている黒服の男に視線を投げる
もう彼は動かない。当たり前だ
私が殺したのだから、この手で
「こん、な…こんなこと…ぁ…」
その瞬間、ふらついて倒れこむ
体内のフォトンのほとんどが流れ出していた
意識が遠のいていく。体はまったく動かない

大切な人を失うのが、人を殺めるのが、こんなに苦しいな…んて
もう、何に…も、関わりた、くない…こんな…私なんて、もう必、ようナん…カ……





「失礼します」
凛とした声のほうを見ると、一人のキャストが立っていた
彼女は最近、アークスとして任命されたレンジャーだ
堅物を思わせるような立ち振る舞いだが、珍しく目が泳いでいる
「はい、なんでしょうか?」
「…彼女について、聞きたいことが」
彼女とは、あの子のことだろう。かつて私が教えたレンジャー
ウーダンを撃てないと言っていたあのキャストが脳裏に焼け付いていた
「そう…。あの子は教えてくれなかったのですね」
「…はい」
「それを私に聞く。というのはいささか彼女に失礼だとは思いますが」
彼女は視線を落とす。おそらく予測していた答えだったのだろう
「…しかし、貴女はもしかしたら、彼女を元に戻せるかもしれませんね。それが善悪どちらかと言われれば難しいですが」
咳払いを一つし、私は続けた
あの事件のことを
「あの子は最高のキャストでした。生き物を撃つことができないこと以外は」
目を丸くしている彼女を尻目に、そのまま口を開く
「それであの子は気象調査などの任務にあたっていましたね。そして事件は起こった」
「あの時、あの子は私からの任務で凍土の異常気象の調査にあたっていた」
「しかし、突然のダーカーの襲撃。それに加えて猛吹雪、そして…殺し屋」
「なにが起こったのか詳しくは分かっていませんが、信号をキャッチしゼノ達を行かせたときには…」
一拍置き、思い出す
あの時の惨状を
「あの子が慕っていた人、そして跡形もなく破壊された殺し屋、そしてあの子。それぞれが倒れていた」
「その内の二人が死亡。あの子は完全に機能を停止していた。どうにか直すことはできましたが」
「その後、目覚めたあの子はまるで別人のように変貌していた」

「それが…」
「そう、それがあの子の過去。アークス殺害の件は完全に抹消された。今そのことを知るのはあの子と、トップの人たち、私、そして、貴女」
目の前にあった椅子に座るように促す
彼女が座るのを見てから、続ける
「私が考察するに、あの子は人殺しをしてしまった人格を責め、心の奥に押し込めてしまった。が今のところの考え」
「二重人格…ということですか」
「その通り。あくまで私の予測にすぎませんが」
「そう、ですか…」
二人とも黙りこむ。彼女は腑に落ちないような顔をしていた
いまだあの子について詳しくは分かっていない
しかし、あの凍土のときに何かがあった。これは確かだった
しばらくして、はっとしたように彼女は立ち上がる
「時間をお取りしてすみません…。それでは失礼します」
「はい。…あの子と」
礼をし、部屋から出ようとした背中に声をかける
「仲良くしてあげてください。ステラ」
彼女は振り返り、かつてのあの子のような微笑みを見せた
「もちろんです」
また軽く会釈し、彼女は部屋を出て行った

浅く座っていた椅子に深く座り直し、背中を預ける
肺にたまった息が漏れる
「…」
視線を横にずらすと、無機質なキャビネットの上にあるフレームに目が入る
そこではあの子が彼と一緒に映っている写真が飾られていた
恥ずかしそうにアークス認定書を持ったあの子の隣で、笑っている彼を眺め、呟く
「…レンジャーは今でも、素晴らしい人ばかりですよ」
それだけ言うと立ち上がり、中断させられたデスクワークを始めるのだった





「またきたんですかあ? 物好きですねえ」
「それでも結構です。それじゃぁ行きましょうか」
「ふふふっまた敵さんを苦しめて苦しめてあそびましょうねえ」
「はい…リサ先輩」
「なんですかあ?」
「…いえ、なんでもないです」
「不思議なステラさんですねえ」
「リサ先輩もね」
そうして二人はそれぞれの武器を持ち、アークス任務につくのだった

【アニメ】織田信奈の野望+α


いつの間にか1000人も来て下さってたみたいで急遽ブログをば(´∀`)


ネタも考えてないんでとりあえず、今見てるアニメについて少し

織田信奈の野望

何曜日何時とか分からないけど配信されたのをちまちまと見てます(゚∀゚)
最初は えっなにこの絵柄 と思ってたけど見ちゃえば天国ですね。ハマってた
作画も素晴らしくて、幼女がとても多いアニメ
中でも五右衛門ちゃんは大変可愛らしいと思います
噛み噛みキャラでごじゃるは、私の心を貫いた…ロリコンかもね

某つぶやきSNSでは五右衛門はホモとか言われていますがそんなことはありません(あいたたでごじゃる)

明智光秀ちゃんもかわいい
ラノベ買おうにも今積んでるのがあるんでそれを消化しないと…
結末を見ないでアニメだけ見る。っていうのもアリなんですけどね(´∀`)


+α!
PSO2始めました!
9~10月のアプデにあるらしいship間移動を考えて
とりあえず今は活動が多い人の元へ… ship8におります!
ユーザー名は ゆれぃ  キャラ名も ゆれぃ
…今更感だけどキャラ名を変えたい…
短期間集中でレベル27にもなり、もうそろそろ大台ですね

レア武器が2つ同時に出るという運のよさ、今日は素晴らしい運のようです
フレンドなどどしどし来てもよろしいですよ~!


SSですが仕方を変えて 一旦もう1つのほうのSSを仕上げてから参天狗に取り掛かろうと思ってます
ながーく待ってくださるかたは待っていてくださいぃ…申し訳ございませんっ

それでは今回はこんぐらいで!バイバイ!

【東方】 色々と雑記さん


数ヶ月ぶりの更新ですね
フォロワーさんが増えてからの更新
是非是非下のほうにスクロールしてSSでも読んであげてください
ただいまモンハンのお蔭で絶賛SS停止
二作書いていて 一話書き終わったらもう一作の一話を書く
と言う感じで進めてるのでかなり時間かかります…
次のSS更新はいつになることやら

もしかしたらもう一作のオリキャラ×東方はいつか投稿するかもしれません
オリキャラ耐性ある人しか読んじゃだめですからね

例大祭、皆さんお疲れ様でした
私も楽しくサークルをまわることができました
皆さん優しく思ったよりイケメンさん美人さんが多かったです



ごめんなさい行ってません(´;ω;`)

満福神社さんや凋叶棕さんが新作を出し
私も早速メロブで通販勢になりますた
8月あたりに秋葉いって買い漁りたいなぁ ぬえちゃんのフィギュアも欲しい
彩とあとは憩かなにかを買おうかな

ネタが早々尽きました
うーん、とりあえずモンハン始めました
HR170ぐらいでスキル重視の雑魚装備で適当に双剣をぶんぶんしてます
剛ゴゴ楽しいね、いつかソロやる
スキル

攻撃力UP【大】
見切り+3
火事場力+2
高級耳栓
業物+1
回避性能+1
砥石使用高速化
ランナー
早食い

こんなもん(になる予定

フォロワーさんがホモホモしい呟きを連発しているのを横目にまだ書く
フォロワーといえば、ツイッターのフォロワーさんが増えてきました
TLがすごい速く動く人はフォローを切りながらその人をちらちらと見ています
決して嫌いだから切ったわけじゃないですよ、嫌いならブロックします
もう大半がホモの人たちになっちゃって…困った(嬉しそう)

新しいフォロワーさんのためにも 少しちょっと自己紹介でもしましょう

名前:ゆれぃ
由来は 幽霊→悠零→ゆれぃ
いつの日か なゆ になります

年齢:20代 というかなりたて
性別:女 ホモだからって男とかやめてください何でもしますから
性格:適当に

色々腐っていたり、ゲーマーだったり、色々ですがどうぞよろしくお願いします。
( ゚д゚)ノ ハイ!シツモーン! って方はDMやらリプやらコメントやらでいつでも受け付けますよ
それでは今回はここまで 
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